MCIという言葉をご存知ですか?
MCIはMild Cognitive Impairmentの略で軽度認知障害のことです。
認知症の前段階であると言われ、改善方向、悪化方向のどちらにもなる可能性があると言われています。
これは若い方にも無縁の話ではありません。
自分は大丈夫でも家族や親族がMCIの状態かもしれません。
認知症が進むと日常生活が困難になり、介護が必要になることも少なくないです。
また、認知症に進行してしまうと介護費用が多大に発生します。
今回はMCIの概要と対策、PT、FP視点でできることを考えてみます。
結論としては
MCIは早目の対策が重要です。
PT視点では運動が効果的であり、FP視点では長期の積立投資による老後資金の準備が対策としての一案となります。
MCIとは
MCIは軽度認知障害のことです。
日本では約400万人のMCIの方がいると言われています。
MCIは1-5年で10-50%程度の割合で認知症に進行する危険性があると言われています。
MCIの定義は以下のものが挙げられます。
MCIの定義
・年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
・本人または家族による物忘れの訴えがある。
・全般的な認知機能は正常範囲である。
・日常生活動作は自立している。
・認知症ではない。
出典 厚生労働省 e-ヘルスネット
日常生活は自立していて、物忘れの訴えがある方は少なくないと思います。
つまり、身近にもMCIの方がいる可能性は大いにあると考えます。
MCIと認知症の違い
MCIと認知症の大きな違いMCIは改善する見込みがあることです。
つまり、MCIの段階で適切な対策を実施することで健常な状態に戻れる可能性があります。
認知症は症状の進行を遅らせることはできる可能性はあります。
しかし、認知症自体を改善することは難しいと言われています。
認知症の介護費用
認知症になってしまった場合の介護費用は平均して月額8.1万円程度かかると言われています。
出典:生命保険文化センター「令和3年度 生命保険に関する全国実態調査」
介護期間が長くなるほど介護費用は増える傾向があります。
また、在宅介護が困難になり施設に入居する場合は更に費用がかかります。
公共の施設では月額5-20万円、民間の施設では月額10-30万円程度かかると言われています。
この月額は年間ではカバーできない金額です。
よって、認知症にならないための対策と老後資金の対策の2つが重要になります。
MCIの対策
PT視点でのMCIの対策としては身体活動が挙げられます。
WHOが身体活動の重要性を以下のように推奨述べています。
「身体活動」は認知機能正常の成人に対して認知機能低下のリスクを低減し、特に65歳以上の成人に対して「週に150分(2時間30分)以上の中強度の有酸素運動、または週に75分(1時間15分)以上の高強度の有酸素運動などを行うこと」、「有酸素運動は1回につき、少なくとも10分以上続けること」を推奨しています。
出典
週150 分、1日に換算すると約20分の運動を毎日行うことが必要になります。
運動不足は認知症以外の様々な病気とも関連があるため、上記運動時間の確保は必須事項と考えます。
運動に認知課題を加えると更に効果的であると最近の研究で明らかになってきています。
リハビリの場面ではコグニサイズと言われる運動➕認知課題の二重課題練習が行われることもあります。
老後資金の準備は若年からのインデックス投資が有効であると考えます。
投資期間が長くなればなるほど複利の力が強まります。
加えて、投資期間が長くなることで運用利益がプラス域に収束されることが過去のデータから分かっています。
よって、老後資金の準備の一案として長期のインデックス投資が有効であると考えます。
まとめ
MCIは認知症の前段階であり、対策次第では改善する可能性があります。
認知症になってしまうと介護費用や負担が生じるため、MCIの時点での対策が重要になります。
MCIの対策としては運動が有効と言われているため、1日20分、週150分程度の運動時間の確保が重要です。